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 グルメを気取ってみたところで所詮は素人。今やバンコクどこででも食べられる寿司について、根拠を持って評価できるかというとそんな自信はなく、店の選び方はやはり本職に聞かないと分からない。江戸屋の初代板長は寿司職人、店も当初は寿司カウンターだけだったという。

 「握り寿司の違いは『舎利(シャリ)』と『ネタ』の二つしかない」。当然といえば当然だが、思わず「その通り」とうなづいてしまう。ネタは種類にもよるが約10―20グラム、舎利は約15―22グラム、出来上がりは約32―40グラム。数字を見なくても実際に食べれば分かることだが、握りというのは舎利がネタより重い。すなわちネタだけが良い握りの要素ではないということ。ちなみに江戸屋の舎利は、若干甘めに酢を効かせ、「自己主張の強い」濃い味の酢飯だという。

 せっかく値段の高いネタを仕入れても扱いや仕込みが悪ければ、ネタが良くても舎利がそうでなければ、握りとしての価値はなくなる。例えば白身は昆布で締めたり、鮪はヅケにしたり、イカは隠し包丁で醤油が染みさせ噛み切りやすくしたりする。店長いわく、「良い握りを簡潔に表現すると、『ていねいなネタの仕込みと良い酢飯(舎利)の織りなすハーモニー』」。

 最近は「これを寿司と呼ぶのか」というような前衛的・独創的なメニューを見かけることが多いが、江戸屋が心がけている「伝統的な江戸前寿司」の良さをまずは知っておきたいと思う。